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「やっぱりMMTに飛びつくべきではないたった一つの確かな理由」への反論

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2019年10月の消費増税でダメージを受けた国民経済に、コロナ禍が追い打ちをかけている今、正しい貨幣論に目覚める人たちが増えてきているという。三橋貴明氏は、この時期に財政破綻論を徹底的に潰す必要があると言っている。全く賛成である。というわけで、微力ながら財政破綻論潰しに参加したいと思います。

やっぱりMMTに飛びつくべきではないたった一つの確かな理由への反論を試みます。この記事には、反MMT、財政破綻論の典型的特徴がみられます。データが全くと言っていいほど出てきません。グラフが1つもない。感覚にうったえています。記事を書いたのは佐藤治彦氏で、下記のような人です。

【佐藤治彦】 さとうはるひこ●経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『年収300万~700万円 普通の人がケチらず貯まるお金の話』(扶桑社新書)、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』 (扶桑社文庫・扶桑社新書)、『しあわせとお金の距離について』(晶文社)、『お金が増える不思議なお金の話ーケチらないで暮らすと、なぜか豊かになる20のこと』(方丈社)、『日経新聞を「早読み」する技術』 (PHPビジネス新書)、『使い捨て店長』(洋泉社新書)

では、記事の中で気になるところをピックアップして反論をしてみたいと思います。

この文章をここまで読んでくださってる読者で、経済のことにあまり関心がない人でも、そんなことはきっとおかしい。それは、何が何でもちょっと滅茶苦茶だと感じるだろう。直感でダメだと思うのだ。私は、その感覚こそ正しいと考える。

ここで著者は、「直感」「感覚」という言葉を使っている。経済を語るならデータで示してほしいものです。

実はMMTについて記された著作にも、上記の様な原則があるにしても、それは政府は無制限に支出すべき、という意味ではないと書かれているし、同時に政府は自国通貨で売られているものなら、何でも購入すべき、という意味ではないとしている。しかし、その線引きは曖昧だ。

「その線引きは曖昧だ」とありますが、曖昧でもなんでもありません。三橋貴明氏の「知識ゼロからわかるMMT入門」では、MMTの基本理論は主に次の3つになるとしています。
(1)自国通貨を持つ政府は、財政的な予算制約に直面することはない
(2)すべての経済は、生産と需要について実物的あるいは環境的な限界がある
(3)政府の赤字は、その他の経済主体の黒字
つまり「線引き」は(2)によって定まることになります。国内経済の供給能力以上に国債(貨幣)を発行することは、需要が供給能力を上回ることになるのでインフレになります。そして、貨幣発行の限度つまりインフレ率をどこに設定するかは、MMTに基づいて政策を決定する各国政府が決めることでしょう。したがって、「線引き」は全く曖昧ではなく、明確に決定することが可能です。

日本の中央銀行のバランスシートはめちゃくちゃだ。債務残高が先進国で飛び抜けて大き過ぎる。生産性が低い。成長率が過去30年間、ほとんど1%程度だ。

「バランスシート」「債務残高」「生産性」「成長率」という用語が出てきましたが、数字を示しているのは「成長率」(グラフは三橋貴明氏の好意により誰でも自由に使っていいことになっています)だけです。

「めちゃくちゃだ」という言い方に具体性のない財政破綻論者の特徴が顕著に現れています。その成長率も、1996年時点と比較すると1%も伸びていません。
 生産性が低いとしたら、それは投資がされていないからです。投資がされていないのは、デフレで需要がないためです。

私の言いたいことをまとめよう。政府が好き勝手にどんどん貨幣を発行できる。そんな通貨を誰が信用するだろうかということだ。そんな当てにならない金を何十年後の老後のために大切に積み立てていくだろうか?MMTは単にインフレを引き起こすだけではない、国の経済の基本であり、血液である、お金、通貨に対する信頼感を貶めてしまうのだ。

MMTでは、「政府が好き勝手にどんどん貨幣を発行」するということは言っていない、とこの記事の筆者も記事の最初の方で書いているのですが、なぜここでそれを否定するようなことを書いているのか、それこそ「めちゃくちゃだ」。
 MMTでは「すべての経済は、生産と需要について実物的あるいは環境的な限界がある」と言っています。つまりインフレ率が限界であるということです。
 「通貨に対する信頼感」という具体性のない言い方も財政破綻論者の特徴です。通貨に対する信頼感を定義してほしいですね。
 

 新薬はマウスなどの実験の後、慎重に限定された人への投薬も行われ、問題点、副作用をきちんと把握した上で、承認される。しかし、MMTはリアルな社会での検証は何一つされていない。そんなものをリアルな現実社会に導入し一度暴走し始めたら、理論通りにコントロールできると誰が保証できるのだろうか。そこを危惧するのだ。

 財政破綻論者のテンプレである、インフレはかんたんにコントロールできない、というレトリックが出てきました。しかし、下のグラフが示すように消費税の威力は絶大です。2014年と2019年の消費増税後を見てください。

日本の実質消費指数(2015年=100)の推移

私はITエンジニアですが、すでに世の中のシステムには、消費税の処理が組み込まれており、税率の変更は設定を書き換えるだけで完了します。インフレのコントロールが難しくないことは、消費増税が証明しています。

MMT理論の説明は明解な会計学の手法を使って行われる。もちろん理論上の破綻はない。しかし、今までの世界が、その通貨を兌換紙幣の時代に培われた貨幣への信頼を失わないように尊重しできるだけ丁寧に扱ってきた。

(中略)

MMTの理論の根底には、どんな権力でさえ丁寧に培ってきた貨幣への尊重や丁寧な扱いに欠ける。

ここでもまた「丁寧」という抽象的な言葉が3回も出てきました。財政破綻論者の面目躍如ですね。貨幣の「丁寧」な扱いって何ですか?定義してください。

無尽蔵に刷られ続ける紙幣ならば、その貨幣に対する信頼は自国民でさえ、失くしていくと思うからだ。そして、日本がこれからも世界と経済的につながって存立していく国でありたいならば、世界で信用されてる日本円という通貨を貶めてはならない。

「無尽蔵に刷られ続ける」などとはMMTでは言っていない。何度言えば分かるんでしょうか。

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