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政治経済

「希望~日本から世界を変えよう」

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大西つねき著「希望~日本から世界を変えよう」(フェア党)を読んだので特に印象に残った部分を書きます。

お金の発行の仕組みを変える

大西つねきさんのメインの主張は、お金の発行を変える、です。お金が借金で発行されていることが、今起こっている多くの問題を引き起こしています。

前提となる知識として、いまお金を直接発行している組織は次の2つです。

  • 政府:硬貨だけを発行しています。
  • 市中銀行:融資という形でお金を発行しています。融資なので、発行したお金には金利が伴います。

日銀はお金を発行しません。日銀は、政策金利により、お金を借りやすくするか、借りにくくするかを調整し、間接的に市中銀行が発行(融資)するお金の量を調整します。銀行が融資するときは、その分のお金をどこかから持ってくるのではなく、単に融資先の口座に融資額を書き込むだけです。要するに何もないところからお金を作り出しています。

お金を発行した時点では、金利分はまだ世の中には存在しません。要するに世の中には金利分が常に不足しているお金しか存在しないのです。したがって、このシステムを維持するためには、お金(=借金)を発行し続ける必要があります。結果として世の中のお金は増え続けてい行きます。

お金の量と実体価値のバランス

お金の量と実体価値(モノやサービス)の量がバランスしていればまだいいのですが、現在は実体価値以上にお金が増えています。数の青線は日本のお金の量(マネーストック)、茶色の線は実体価値(GDP)です。明らかにお金だけがアンバランスに増えています。増えたお金が流通すれば、その分お金の価値が下がる(=物価が上がる)すなわちインフレになるはずですが、日本は20年間デフレです。

フェア党ホームページより

なぜそうなるかというと、増えたお金は流通せずにお金を増やすために使われているからです。金利によってお金は一部の人達に集中していきます。富めるものは何もしなくてもますます富んでいくようになります。

国債の発行

90年代の前半からGDPは増えていません。つまり融資に対する需要がなくなっているため市中銀行の貸出残高も増えていません。

それでもマネーストックが増えているのは、政府の国債という形の借金でお金が発行されているからです。

政府発行紙幣

では現在のお金の発行の仕組みをどう変えればいいのでしょうか。それは、政府発行紙幣によって誰の借金でもないお金を発行することです。

それによって、政府の借金は解決し、その他多くの問題も解決します。詳しくは本を読んでください(笑)。YouTubeの大西つねきチャンネルもわかりやすいです。

世界一の対外純資産

日本は世界一の対外純資産を持っています。

財務省のホームページには円単位で記載されていますが、基軸通貨はドルですので実際はドルで保有しています。したがって、そのままでは日本国内で使うことはできません。

身を削って得た対外資産は使えない形でしか持つことができない、悲しいですね。

憲法9条は世界の宝

引用します。

 私が憲法第九条の堅持にこだわるのは、それが世界の宝だと考えるからだ。何があっても戦争だけは絶対にしない、そんな憲法を持った国は他にはない。それが制定された経緯など、どうでもいいことだ。それが現存し、日本のような大国の憲法として機能していることが大事なのだ。今は現実離れした理想かもしれない。だから矛盾も生ずる。だが、この理想を捨てずに持ち続ければ、それはいつか必ず世界を変える足がかりになる。何故なら、どこかの国が最初に武器を捨てないと、それは永遠に起こり得ないからだ。
こんなことを言うと、平和ボケと言う人がいるだろう。そんなことで、どうやって国を守るのだと。だが、我々が守るべき国とは何だろう?人ではないのか?私は、それを平和ボケと言う人こそ、平和ボケなのではないかと思う。どんなことが起きても、絶対に人殺しなどという醜い行為は誰もしたくないのだ。その醜さを本当に知らないから、そんなことが言えるのではないか。平和ボケと言う人は、国家の権益や国土を守るために人を殺しに行くのだろうか?申し訳ないが、私なら真っ平ご免だ。国土が侵略されようが何が起きようが、自分で行くのもイヤだし、人にも行かせられない。弱腰、臆病者、何と言って頂いても構わないが、国民に人殺しをさせてまで守らなければいけない権益などあるとは思わない。マハトマ・ガンジーはかつてこう言った。「There are many causes that I am prepared to die for but no causes that I am prepared to kill for.(喜んで命を捧げる大義は多くあるが、人を殺す大義など存在しない。)」正にその通りだと私は思う。
我々の憲法九条の凄いところは、何が起きても国家が自国の国民に、人を殺しに行けとは絶対に言わないと明言していることなのだ。国体の維持など捨てたとしても、とにかく人々よ、戦争なんかで死ぬんじゃない、それが憲法第九条のメッセージである。国家が発するメッセージで、これ以上のものがあるだろうか?全く何と素晴らしい条文だろう。これを作った方々に敬意と感謝を捧げたい。これをどうして変えようなどと思うのか、私には全く理解不能である。

我々の覚悟

本書の中で提案されている政策を実行するには、日本が実質的に独立国になる必要があります。アメリカの属国の立場では、できないことがほとんどです。さらに国際金融資本とガチで喧嘩しなければなりません。

そのためには、日米安全保障条約を破棄し、そのことによって日米地位協定を廃止し、在日米軍を一層しなければなりません。その上で、あらためてアメリカと同盟を結ぶか。あるいは武装するか、非武装にとどまるか。

全ては我々一人一人の覚悟にかかっている、と著者の大西つねきさんは言います。

幸い世界的に金融システム改革の機運が高まっているそうです。文明という船が大きく舵を切っているときだと思います。このような時期にあって時流に乗るとはどういうことか、深く考えたいと思います。

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