三橋貴明著「財務省が日本を滅ぼす」(小学館)を読みました。著者は具体的なデータをもとにわかりやすくグラフ化してくれるので説得力があります。財務省の御用学者たちの抽象的でわけのわからない言説とは違います。
グローバリズムのトリニティ
グローバリズムを推進する政策パッケージは次の3つであるとしています、「規制緩和」「自由貿易」「緊縮財政」。緊縮財政により従来政府や公共機関が提供していたサービスが提供できなくなり、そのサービスについての規制を緩和し、己の利益のことしか考えないハゲタカ外資が参入するという構図です。
それによってサービスが向上すればいいのですが、すべてサービス品質が低下しかつ価格が上がります。利益最優先ですから当然です。
「プライマリーバランス黒字化目標」という大愚策
プライマリーバランスとは、国債の利払いと償還以外の国の歳入と歳出のバランスのことです。税収の範囲内で予算を組めということです。国家経済は家計とは違います。家計や企業では収入と支出のバランスをとるのは正しいですが、通貨発行権を持つ政府は全く違います。
なぜ財務省は緊縮財政にこだわるのか
財務省が緊縮財政にこだわるのは大蔵省時代からであり、それは経済学の誤りに基づいているとしています。
財務省の下部組織として国税庁があり、国税庁は捜査権を持つ警察力です。財務省の緊縮路線に反対する論陣を張ったマスメディアには容赦なく国税の税務調査が入るそうです。政治家も財務省に逆らうと地元の予算が削減されます。財務省以外の官庁も財務省に逆らうと予算が削れらます。
残る希望としては、2014年に内閣人事局が設置されたこととしています。内閣人事局はキャリア官僚の人事権を持ちます。これを利用して「国民経済の成長に貢献した官僚を、トップに就ける」ことが可能であるとしています。